Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふのまぼろしへいだんいん

恐怖の幻兵団員

大倉 燁子

Lesen Sie 恐怖の幻兵団員 (きょうふのまぼろしへいだんいん) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.784 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

「先生、突然、こんな朝っぱらから伺って、御無理をお願いしてはすみませんが、実は私、大変な心配事が出来たんですの。委しいことは途々申上げますが、いかがでしょう? これから直ぐに宅へいらして頂けませんか知ら?」

よく見ると夫人は憔悴して、顔いろは青褪めているし、唇のあたりが微かではあるが痙攣している。何事かは知らず、少なくとも彼女にとって重大なことに直面していることだけはたしかであった。

私はオーヴァを着て、夫人と一緒に玄関へ出た。そこにはニューフォードが横附けになっていた。

シートに腰を下すと、私はわざとゆっくりと、落ちつき払って、シガレットに火を点じ、

「どうなすったんです?」

はじめて口を切った。

「すっかりお話ししなければお分りにならないでしょうが、主人が昨年の春シベリアから帰還したことは御存じでしたわね」

「麻布の御本邸で、一二度お目にかかりました」

「松岡の父が只今重態で、昨今、危篤状態であることも知っていらっしゃいましょう?」

「新聞で知っています」

「そのため、麻布の本邸は今、ひっくりかえるような騒ぎをしておりますの。その最中に――、実は主人の一雄が、行方不明になってしまったんでございますの」