Japanische Klassiker mit Furigana
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あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
Lesen Sie 悪獣篇 (あくじゅうへん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.715 Zeichen · 73 Bildschirme
斜ッかいの化粧部屋の入口を、敷居にかけて廊下へ半身。真黒な影法師のちぎれちぎれな襤褸を被て、茶色の毛のすくすくと蔽われかかる額のあたりに、皺手を合わせて、真俯向けに此方を拝んだ這身の婆は、坂下の藪の姉様であった。
もう筋も抜け、骨崩れて、裳はこぼれて手水鉢、砂地に足を蹈み乱して、夫人は橋に廊下へ倒れる。
胸の上なる雨戸へ半面、ぬッと横ざまに突出したは、青ンぶくれの別の顔で、途端に銀色の眼をむいた。
のさのさのさ、頭で廊下をすって来て、夫人の枕に近づいて、ト仰いで雨戸の顔を見た、額に二つ金の瞳、真赤な口を横ざまに開けて、
「ふァはははは、」
「う、うふふ、うふふ、」と傾がって、戸を揺って笑うと、バチャリと柄杓を水に投げて、赤目の嫗は、
「おほほほほほ、」と尋常な笑い声。
廊下では、その握られた時氷のように冷たかった、といった手で、頬にかかった鬢の毛を弄びながら、
「洲の股の御前も、山の峡の婆さまも早かったな。」というと、
「坂下の姉さま、御苦労にござるわや。」と手水鉢から見越して言った。
銀の目をじろじろと、
「さあ、手を貸され、連れて行にましょ。」
十九