Japanische Klassiker mit Furigana
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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme
イヤ、この部屋には鑑識課にもないような、宗像博士創案の奇妙な器械も少くはないのだ。
博士は先ず靴箆を実験台の上に置いて、指紋の部分に黒色粉末を塗り、隆線を黒く染めてから、窓の紐を引いて厚い黒繻子のカーテンを閉め、部屋を暗室にすると、幻燈内の電燈を点火し、靴箆を器械に挿入して、ピントを合せた。
忽ち部屋の一方の壁のスクリーン上に、巨大な指紋の幻燈が映し出された。五分にも足らぬ拇指の指紋が、三尺四方程に拡大され、指紋の隆線の一本一本が黒い紐のように渦巻いている。
博士も係長も、暗闇の中でじっとそれを見つめたまま、暫くは口を利くことさえ出来なかった。二人とも、指紋ではなくて、何かしらえたいの知れぬ化物に睨みつけられているような、不思議な気味悪さを感じたからだ。
アア、何という奇怪な指紋であろう。一箇の指紋に三つの渦巻があるのだ。大小二つの渦巻が上部に並び、その下に横に長い渦巻がある。じっと見ていると、異様な生きものの顔のように見えて来る。上部の二つの渦巻は怪物の目玉、その下の渦巻はニヤニヤと笑った口である。
「中村君、こんな指紋を見たことがありますか」
闇の中から、博士の低い声が訊ねた。