Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme

Aozora Bunko

三重渦状紋

死体の右手をごらん下さい。そこに掴んでいるものは、余程大切な証拠品らしいんです。……では、僕失礼します」

小池助手はテキパキと云い捨てて、帽子を掴むと、いきなり外へ飛び出して行った。

三重渦状紋

小池助手を見送ると、宗像博士は死体の上に屈んで、その手を調べた。小さな紙包を握っている。死んでもこれだけは手放すまいとするかの如く、固く固く握りしめている。博士は死人の指を一本一本引きはなして、やっとそれをもぎ取ることが出来た。

何か小さな板切れのようなものが、丁寧に幾重にも紙を巻いて、紐でくくってある。博士は隣りの実験室から、一枚のガラス板を持って来て、紙包をその上に乗せ、なるべくそれに手をふれないように、ナイフとピンセットを使って、紐を切り、紙を解いて行った。

博士も無言、それをじっと見つめている捜査係長も無言、ただ時々ナイフやピンセットがガラス板に触れて、カチカチと小さな音を立てるばかり、まるで、手術室のような薄気味悪い静けさであった。

「なあんだ、靴箆じゃありませんか」

中村係長が頓狂な声を出した。如何にも紙包の品物は、一枚の小型の象牙色をしたセルロイド製のありふれた靴箆である。