Japanische Klassiker mit Furigana
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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme
思いもよらぬその木箱に、川手氏自身の姓名が記されていたからである。
「俗名川手庄太郎」「昭和十三年四月十三日歿」
アア、それは川手氏の死体を納める為に用意された棺桶であった。四月十三日歿という月日さえ、あの庭の石碑に刻みつけてあった日附と、ピッタリ一致しているではないか。
アア、そうだったのか。俺はこの棺に納められるのか。そして、庭の石碑の下へ埋められるのか。十三日といえば、明日だな。イヤ、もう十二時をすぎているから、今日という方が正しい。愈々俺はそういう事になるのかな。
川手氏は悪夢を見ているような気持で、まだ本当には驚けなかった。奥底も知れない程の恐怖ではあったが、それが何か紗を通して眺めるようで、まだ身にしみて感じられなかった。
ふと気附くと、今まで側にいた子供の姿が見えぬ。一体どこへ消えてしまったのだ。四方を板で囲まれた部屋の中、どこにも身を隠す場所はないではないか。アア、これも悪夢だな。子供は魔法使の妖術で、煙のように消えてしまったのに違いない。
だが、地底の怪異はそれで終ったのではなかった。茫然と夢見るように佇んでいる川手氏の耳元に、どこからともなく、ボソボソと多勢の人の話声が聞えて来た。