Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme

Aozora Bunko

涼しい黒目勝の目だ。その黒目が右に左にキョロキョロと動いた。

二人はギョッとして、一歩あとにさがった。例のからくり仕掛にしては、少し出来すぎている。

呆然と立ちすくんでいる二人の前で、生首の口辺の皺がムクムクと動いて、やがて、紫色の唇が開き、白い歯がニッと現われた。そして、笑ったのである。草原の上の生首が声を立てないでニヤニヤ笑ったのである。一瞬間、流石の法医学者も、勇敢なその助手も、動悸の早まるのをどうすることも出来なかった。顔は二人とも紙のように青ざめていた。

しかし、やがて、宗像博士は笑い出した。

「これは君、生きた人間だよ。若い女が土の中へ全身を埋めて、首だけ出しているんだよ」

無論その外に考え方はなかった。恐らくそこに木の箱でも埋めて、身体が冷えぬような設備をして、そんな真似をしているのであろうが、それにしても、何という突飛な、人騒がせな思いつきをしたものだ。薄暗い草原の中で、人形とばかり思い込んでいた轢死女の首だけが、ニヤニヤ笑うのを見たら、大抵の見物は腰を抜かしてしまうであろう。

「なる程考えたものだねえ。これ一つでも入場料だけの値打はありそうだぜ」