Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme

Aozora Bunko

「僕はこんな気味の悪い見世物は始めてですよ。この興行主はよっぽど変り者に違いありませんね」

まだ青ざめた顔で、乾いた唇で、そんなことを話しながら、轢死の場面を立去ろうと、二三歩あるいた時である。小池助手は何かしら、うしろに異様な物の気配を感じて、ハッと振向いた。

すると、線路の上に転がっていた、血みどろの腕が、まるで爬虫類ででもあるように、スーッと草原の上を這って、こちらへ近づいて来るのが見えた。しかも、恐ろしいことには、それが見る見る柵を越して、通路の方まで這い出して来たのである。

「ワアッ!」

小池助手は思わず声を上げて、博士の肩にしがみついた。からくり仕掛けと分っていても、青白い腕ばかりが、暗い地面を這い出して来るなんて、どんな大人にも気味のよいものではない。

すると、又してもいつもの嗄れ声が、どこからともなく響いて来た。

「お客さん、これが二枚目の紙札ですよ。これを持って出ないと賞金はとれませんよ。だが、用心して下さい。死びとの腕はお客さんに咬みつくかも知れませんぞ」

又しても、陰気な脅し文句だ。見れば、死人の指には、一束の小さな紙札が握られている。