Japanische Klassiker mit Furigana
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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme
「なるほど、なるほど。よく考えたものだねえ。しかし、これを受け取れば、我々は完全に関所を通過したことになる訳だね」
博士はそんなことを呟きながら、腰をかがめて、人形の腕を掴むと、その指から二枚の紙札を抜き取った。
「なる程、大きな判が捺してあるね」
博士は立上って、感心したように紙札を眺めていたが、さい前のと同じように、二枚とも自分のポケットに納めた。
それからまた、幾つもの思い切って無残な場面を通りすぎて、さしもに長い竹藪も終りに近いところまで辿りついた。
「先生、とうとうおしまいのようですね。しかし、どこにも本物の死体なんて、なかったじゃありませんか」
小池助手は失望の面持である。あれだけ夥しい死びと人形の中に、一つも本物が混っていないなんて、却って不自然なような気さえした。
「だが、まだここに、何だか物々しい場面があるぜ。ここだけひどく薄暗いじゃないか」
博士はそこの柵の前に立って、じっと奥の方を見つめていた。
そこには、竹藪に囲まれ雑草の生い茂った空地に、一軒の荒屋が建っていた。六畳一間きりの屋内は、戸も障子もなくて見通しである。その部屋一杯に、色褪せた萠黄の古蚊帳が吊ってある。