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Japanische Klassiker mit Furigana

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おしみなくあいはうばう

惜みなく愛は奪う

有島 武郎

Lesen Sie 惜みなく愛は奪う (おしみなくあいはうばう) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.397 Zeichen · 159 Bildschirme

Aozora Bunko

「汝自身の如く隣人を愛せよ」といったのは彼ではなかったか。彼は確かに自己を愛するその法悦をしみじみと知っていた最上一人ということが出来る。彼に若し、その愛によって衆生を摂取し尽したという意識がなかったなら、どうしてあの目前の生活の破壊にのみ囲まれて晏如たることが出来よう。そして彼は「汝等もまた我にならえ」といっている。それはこの境界が基督自身のものではなく、私達凡下の衆もまた同じ道を歩み得ることを、彼自身が証言してくれたのだ。

やがて基督が肉体的に滅びねばならぬ時が来た。彼は苦しんだ。それに何の不思議があろう。彼は自分の愛の対象を、眼もて見、耳もて聞き、手もて触れ得なくなるのを苦しんだに違いない。又彼の愛の対象が、彼ほどに愛の力を理解し得ないのを苦しんだに違いない。然し最も彼を苦しめたものは、彼の愛がその掠奪の事業を完全に成就したか否かを迷った瞬間にあったであろう。然し遂に最後の安心は来た「父よ(父よは愛よである)我れわが身を汝に委ぬ」。そして本当に神々しく、その辛酸に痩せた肉体を、最上の満足の為めに脚の下に踏み躙った。

基督の生涯の何処に義務があり、犠牲があるのだろう。