Japanische Klassiker mit Furigana
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おしみなくあいはうばう
惜みなく愛は奪う
有島 武郎
Lesen Sie 惜みなく愛は奪う (おしみなくあいはうばう) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.397 Zeichen · 159 Bildschirme
一〇
私の現在が最上に生きられるなら、私の未来は最上に成り立つ。眼前の緊張からゆるんで、単に未来を空想することが何で未来の創造に塵ほどの益にもなり得よう。未来を考えないまでに現在に力を集めた時、よき未来は刻々にして創り出されているのではないか。
センティメンタリストの痛ましくも甘い涙は私にはない。ロマンティシストの快く華やかな想像も私にはない。凡ての欠陥と凡ての醜さとを持ちながらも、この現在は私に取っていかに親しみ深くいかに尊いものだろう。そこにある強い充実の味と人間らしさとは私を牽きつけるに十分である。この饗応は私を存分に飽き足らせる。
一〇
然しながら個性の完全な飽満と緊張とは如何に得がたきものであるよ。燃焼の生活とか白熱の生命とかいう言葉は紙と筆とをもってこそ表わし得ようけれども、私の実際の生活の上には容易に来てくれることがない。然し私にも全くないことではなかった。私はその境界がいかに尊く難有きものであるかを幽かながらも窺うことが出来た。そしてその醍醐味の前後にはその境に到り得ない生活の連続がある。その関係を私はこれから朧ろげにでも書き留めておこう。