Japanische Klassiker mit Furigana
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せきべつ
惜別
Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme
あのひとも、決して悪い人間ではないらしいが、どうもあの過度の親切には、閉口している。しかしまあ、いまのところ、津田さんのこんなおせっかいが少し苦痛なだけで、あとは、自分には何の不服も無い。全部、順調である。幸福な身の上と言っていいのかも知れない。学校の講義はどれもこれも新鮮で、自分の永年の志望も、ここへ来て、やっとかなえてもらえたような気がしている。中でも、解剖学の藤野先生の講義は面白い。別に変ったところも無い講義だが、それでも、やはりあの先生の人格が反映されているのか、自分ばかりでなく、他の生徒もみな楽しそうに聴講している。前学年に及第できなくて原級に留った所謂古狸の連中の話に拠れば、藤野先生は服装に無頓着で、ネクタイをするのを忘れて学校へ出て来られる事がしばしばあり、また冬は、膝小僧をかくす事が出来ないくらいの短い古外套を着て、いつも寒そうにぶるぶる震えて、いつか汽車に乗られた時、車掌は先生を胡散くさい者と見てとったらしく、だしぬけに車内の全乗客に向い、このごろ汽車の中に掏摸が出没していますから皆さま御用心なさい、と叫んだとか、その他、まだまだ面白い逸事があるらしく、お心も高潔のようだし、講義も熱心で含蓄が深いのに、一面に於いてそんな脱俗の風格をお持ちのせいか、クラスの所謂古狸連は、この先生に狎れ、