Japanische Klassiker mit Furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
だが、おれは一人の女を捨てた。向うのせいいっぱいの誠実をふみにじった。おれは二度と自分を真面目な男だとは思えないだろう。絶対に二度と自分に好意をもてないだろう。
「トン子」と私は呼んだ。おれはいやだ、おれは自分が悪人だと思うことにたえきれない。……あの、二年前の別れたあと、私は毎日、新聞の社会面をみるたびにびくびくした。女の自殺ばかりが目につき、不安は半年以上もつづいた。まる一年たったあとでも、ときに不吉な予感がして、緊張に顔を真赤にして新聞をくりかえし丹念にながめまわした。しまいには、ごく自然に病気かなにかで死んでくれたら、と彼女の死を待ちこがれるような気さえしてきた。彼女の死、それが、それまでは新しく生きることも死ぬこともゆるされない、ひとつの刑の期限のように思えたのだ。今日の告別式でも、私は富子を見てはいない。富子は死んでいるのではないだろうか。たとえ生きているにしても、だが、それは私から殺人者の名を免れさせはしない。おれは人ごろしだ。おれはそれを背負って生きて行かなければならない。
私はそれから後のことはあまり書きたくない。私は常軌を逸脱していたのだ。