Japanische Klassiker mit Furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
「仕方ねえよ、相手は御機嫌さんで頼んでるんだ、やってやろうよ、こんだからのキャンセルがこわいよ」長い頤を突き出して安達が答えた。「なあ、マスター」
「仕方ないね」
荻村はおとなしい男だった。「皆、いいね?」
「試験がある」と信二はいった。「明日の三時間目、英語の試験があるんですが」
「三時間目? なら午後だろ? だいじょうぶだ、朝の汽車で帰れる」
安達はそそくさと外套をまた羽織った。「そうだ、宿を交渉してこなくっちゃあ」
「この前のとこかい?」と小林がいった。青木がそれにつづけた。「あそこ? クリスマスの。ひでえ宿じゃないの」
「だって、あそこしかねえんだものよ、宿なんての。兵隊も送ってくれやしねえし、もしあの宿でおことわりなんかくらったら、あんた、野宿でっせ」
二月に入ってのはじめての水曜日だった。あとで知ったことだが、それは一部の幹部士官に、本国帰還の命令が出た日だった。兵士たちはたぶん、自分たちの送還も間近いと考えてよろこんでいたのだろう。それが、ちょうどその水曜日にあたっていた。
でも士官は信二たちの客ではなかった。楽団は兵士のために招かれていたのだった。