Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あいのごとく

愛のごとく

山川 方夫

Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

私は、自分がだんだん非人間的な、非生命的な存在になっていくのを、内心よろこんでいたのかもしれない。生命こそ、あらゆる煩雑さや混乱や苦痛や幻影やを生む兇器だと私は考え、それをおそれ、それから逃げようとだけ心がけてもいたのだから。

下宿は私鉄の駅からあまり遠くない住宅地の一角にあったが、いかにもかつての郊外の、周囲を農地にとりまかれていた時代を語るような、食料品や雑貨を売る田舎の便利屋ふうの古い店で、私たち間借り人たちの部屋はその二階にあった。

店の横にある門を入り、玄関からまっすぐにつづく急な階段を上ったすぐ左側が私の三畳だった。薄暗い廊下の右側、つまり私の部屋の前の廊下には二つの部屋の板戸が並び、鉤の手にそれを左折すると右側に共同の洗面所兼炊事場があり、左側にはさらに二つの部屋があって、その廊下の突きあたりが便所だった。便所は和式で、黒い穴が直接に階下の糞壺につづいている。そこで用を足すのはなかなか気持よかった。まるで飛行機が爆弾を落すように、しばらくしてから到達のなつかしい音が聞えてくる。それは、私のその下宿でのたのしみの一つだった。あるとき、酔っぱらいが立ったまま小便をしたのらしく、壁にアルコールくさい小便がかかっていたことがあった。