Japanische Klassiker mit Furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme
「じゃ、言わずにおきたまえ。そのかわり、なにを聞いても、返事をしないから」
「豚が放火をするわけはないんだから、失火の直接の原因をつくった、といったら、おわかりになるはずですが」
「わからないね」
「簡単に申しましょう……調理場の北側の壁と地下室の壁は、胴差が通ったところで一枚につづいていますが、その壁は、冷煖房を装置するかげんで、木骨混凝土の二枚の間に、鋸屑や畳の古床を詰めて絶縁体にしてあるんです……ところで、豚のやっこさん、あんなところへおしこめられて、食うものがなくなり、苦しまぎれに、精いっぱいに伸びあがって、動力線の被覆を噛ったもんだから、親子もろとも、あっという間に黒焦げになってしまった。そのときショートした火花が、壁の間の詰物に移って燻ぶりだしたが、両側がモルタルだから、おもてへ火が出ない。内攻したまま、あっちこっちへひろがりながら、調理場の屋根の対束まで燃えて行った……というようなことだったらしいのですね。隔壁の内側の詰物が、地下室と調理場の壁の上端まで、ずうっと焼け通っていますから」
「すると、石田九万吉なる人物が、燃えぐさを持って、ヴェンチレーションの穴から、台所の天井裏へ這いこんだなどというのは、まるっきり、ないことだったんだね」