Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

あきらめたほうがいい」

係長は当てはずれの白けた顔で、刑事とボソボソいいあいをしていたが、そのうちに、うまいところへいき着いたらしく、さっきの自信ありげなようすになった。

「隣家の太田の女親分に聞いてみるか。ご苦労だが、当って来てもらおう」

「そうですね……じゃ、ちょっと」

刑事が立って、庭先から出て行った。

「太田の女親分というのは、改進党の代議士だった太田貞代のことだろう。昨日、失火の挨拶に行ったが、よくひとの出入りするうるさい家だ。いま、なにをしているのかね」

「この春までは、代々木のワシントン・ハイツにある、日本人管理事務所の労務部婦人部長……二千人からのメードを管理して、元締のようなことをやっていましたが、講和発効で解散になって、いまは浪人です」

行政機構改革で整理され、この先、就職の希望のない石田氏にとって、浪人という言葉ほど忌々しいものはない。だまって聞き流しているはずはないと思っていたら、果して、ふふんと棘のある含み笑いをした。

「そうかい、隣家も浪人か。それぁ、よかった」

と、すねたようなことをいうと、足を投げだして、踵の水虫をいじめにかかった。