Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

下手に力んだりしようものなら、

「親の因果が、なんとかといいますが、千々子は、とんだ父親似ですわ」

などと、賢夫人に鼻であしらわれるにきまっている。

清水、太田の二人連れが帰ると、お悧口な千々子さまが、賢夫人を衝立にして、そろそろとサロンに入っていらっしゃった。石田氏と向きあうソファに掛け、清浄無垢な修道女が、夕祷の鐘の音を聞きすますときのように、雲のうえの天国を見あげるみたいな、ひとをバカにしたシナをしてみせても、石田氏は嫌味ひとついえなかった。

石田氏といえども、官僚の砥石で研ぎあげられた一廉の練達だから、

「もうすこし頑張れば、お前を青い眼の娘にして生んでやれた。こうなってみると、つくづく惜しいことをしたものだと思うよ……賢子、お前さんも、同感だろう」

なんて、渋のきいた、しっぺいがえしをするのだろうと思っていたが、石田氏は、左足を右膝のうえにひきあげ、ハシリの水虫に爪を立てながら、

「おれは、そこのプールで錦鯉の子を飼って、それを釣って暮すつもりだ……お前たちのすることには、今後、いっさい干渉しないから、おれのほうも、放っておいてもらうことにする」