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Japanische Klassiker mit Furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

三

、かかわらないことにする」

人間の命は、金とおなじように、たがいの釣り合いから成立っているものだから、なにもせずに、命だけを貯めこむなどというのは、バカげたことだと私は思うのだが、そのときの石田氏の理論はそうだった。

三

東京都内の接収家屋は、四月二十八日に、一斉に引渡しを行なったという噂だったが、こちらには、なんの連絡もなかった。

石田氏の頭はすこぶる公式的で、事の善悪にかかわらず、なにか例外的な取扱いを受けると、無視されたと感じて、躍起になる癖がある。

「妙な扱いをするじゃないか。明日でも調達局へ行って、よく聞いてみてやろう」

と、いつものように昂奮しだしたが、賢夫人は柳に風と外らしながら、

「ひょっとすると、解除延期ということになったのかもしれません……これはまァ、一例ですが、現住者が強かなひとで、梃子でも動かない、なんてのもあることですから、こちらから出かけて行って、寝た子を起こすような真似をすることはないでしょう。放っておいたらいかがです」

とかなんとか、店子の人柄に期待をかけ、アメリカの家賃に依存して、なり振りかまわず、気がねなく貧乏のできるバラック仕立ての楽園に、一日も長く居据わることをねがっていたが、接収解除の布告についで、五月のはじめ、家屋返還通知のハガキが届いた。