Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

「お暇なこってすね」

「そう見えるなら、見当ちがいだ」

石田氏が冷淡にはねつけた。賢夫人は、いいたいことがあって来たふうで、棘のある言葉で、チクチクと弄いだした。

「世間では、石田は補償問題が片付かないのと、プールの水の使用料を、五千円もとられたので腹をたてて、調達局と水道局への面あてに、子供みたいな真似をしていると噂しているそうです」

「それが、どうした」

「ヘンリ清水も、いっていました。錦鯉が、一匹、二万円に売れるというので、養殖をはじめるつもりらしいが、プールじゃ鯉は育たないから、無駄なようなもんだって……一匹、二万円ずつで、アメリカへでも輸出するつもりなんですか」

「こうして摺鈎で魚を釣っているんだが、養殖しているように見えるかね?」

「摺鈎で魚をひっかけて釣るのを、馬鹿釣というんだそうですね。釣ったり放したり、バリウムのようなものを飲ましたり……それで、どうしようというんです?」

「魚を訓練しているんだ……ここで、錦鯉専門の釣堀をはじめるつもりだが、こういうぐあいに仕込んでおくと、めったに鈎にかからなくなる」

「バリウムは、なんのためです?」

「夜釣の客のためだ……錦鯉の発光魚なんて、すいぶん粋だろうじゃないか」