Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

「それはそうだが、そんなものを受取っていながら、あの千々子さまが、だまっているだろうか」

「そういわれると、なんだか心配になってきた。ひっぱたいて、言わしちまおうか。そうしても、いい時期だ……ちょっと行って、聞いてくる」

千々子さまは、子供のとき、軽い脳膜炎をやったので、賢夫人は神経の疲れるようなことはいっさいさせず、十三四のとしまで、読むものは、童話にかぎってしまったので、そのため、ひどく甘い頭になり、ひとより遅れて学習院の女子部へ通うようになってからも、友達が、

「あなた、どんな方と結婚なさりたい?」

とたずねると、千々子さまは、

「あたくしね、あのう、あたくしのほうは、お婿さまが、白いお馬に乗って、迎いにきてくださることになっていますの。それはそれは、たいへんなハンサムなの……みなさまには、ほんとうにお気の毒よ」

とこたえる。

千々子さまの白い馬といって、学習院じゅうの評判になっていたそうで、白い馬に乗ったひとは、千々子さまの弱い頭のなかでは、『英雄』の象徴といったようなものだったのだろうが、百々子などは、後でその話を聞いて、あまりのとりとめなさに、泣きたいような思いがした。