Japanische Klassiker mit Furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme
屋根がぬけたのは、先代、石田与惣兵衛が寝室にしていた、南向きの明るい部屋で、明治風の唐草模様のついた天井の漆喰がそっくり剥げ落ち、糠雨の降りこむ部屋のなかを、何万とも知れない羽根の黄色い家白蟻が、吹雪のようにチラチラと飛びちがっていた。
崩れ落ちた壁間をのぞくと、そこらいちめん、ぞっとするような白蟻の巣で、五分ぐらいの長さの白蟻の子供が、白いネバネバしたものを吐きながら、盛りあがるようになってうごめいているのが見えた。
予定どおりに、シュラーが独立祭の日までに日本に来ていたら、当然、このベッドに寝たのだろうから、横梁と漆喰の下敷きになって、大怪我をするところだった。石田氏は、この家をアメリカ風に改修されたのが不服で、調達局を相手にして、むずかしい掛合いをやっているが、この腐朽ぶりを見たら、補償の、原状回復の要求のと、大きなことをいえるセキはない。触われば崩れる泥塚のような家に、七年の間、毎月、百ドルずつ払ってもらっていたことを、ありがたく思わなくてはならない。
五十雄君と百々子は、責任を感じて、西側のほうはどうなっているかと見に行った。
洋館の二階には、真中に廊下を挾んで東側に四つ、西側に四つの部屋があるが、どの部屋にも二人用の大きなベッドが入り、緋色のベッド・カヴァがかかっている。