Japanische Klassiker mit Furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme
た。
もともと寛容な性なので、かくいう百々子は、そうまでのことはしなかったが、石田氏のほうは、腹をたてて、すっかりひねくれてしまい、わざわざ、袖口に貧のほつれの見えるスコッチの古服に着換え、煤払いに雇われてきた労働者一般といった恰好で、
「仕度がよかったら、出かけようか」
と、慇懃に庭先から別世界のひとたちを誘った。
庭の木戸から前の横通りへ繰りだすと、なにごとかとおどろいて、流し元から走りだしてきた、七年の朋輩なる近所のおかみさんや小娘は、桃色真珠の光に眼を射られてタジタジになり、わけもわからずに、むやみにお辞儀をするのは、気の毒とも恐縮ともいいようのない光景であった。
ハイヤーに乗ると間もなく、あっという間に麻布の家の前に着いた。
大きな石の門の前に、拳銃をさげたSPのガードが一人立っていたが、石田氏が英文の身分証明を見せると、通ってよろしいと、愛想よくうなずいてみせた。
御所造りの表玄関につづく、砂利道をうねり上って行くと、軍所属の家具を引き取りにきた米軍の大トラックが三台、車寄せの前にとまって、空色の労働服を着たアメリカ人が五人ばかり、芝生に寝ころがって煙草を喫っていた。