Japanische Klassiker mit Furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme
「たとえば?」
「この部屋だけについていえば、あそこの硝子扉などは、もとの古ぼけた吉野障子より、たしかにプラスになっているはずですが」
賢夫人が、だしぬけに発言した。
「それはそうですとも。このほうが、明るくて、どんなに気持がいいか知れやしません……プラスですとも」
石田氏は賢夫人に、そこでよけいな口をきくことはない、と窘めておいて、
「失礼だが、私の見るところでは、プラスになったものなんか、ひとつもないね。だからこそ一切合財、原状にかえしてくれといっているんだ」
「ちょっと質問いたします。たとえば、庭の西境いの松の木ですが、ああいうぐあいに、頭をちょん切られてしまうと、どうしたって、原状回復はできない。庭木は補償の対象に含まれていますから、金で補償することになりますが、それは、お認めくださるでしょうか」
石田氏は、それにも逆らってみたいふうだったが、理の当然に服して、渋々、うなずいた。
「それは、しょうがない」
「そういたしますと、人力をもって原状回復できないものにたいしては、補償をお認めくださるわけですね?……ついでだから、申しあげておきますが、プールは三百万円、テニス・コートのほうは、あれで八十万円ばかりかかっていますから、建設費相当分をお払いねがうことになります。