Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

これじゃ、臭くて入って行けないから」と頼んだ。

戦時中、防空壕の掩蓋になっていた吉良の雑倉の小屋根に風穴があくと、係長と刑事が後先になって地下室へ入って行った。三十分以上もゴソゴソやって出てくると、木骨混凝土の絶縁壁の間を通っている、焼け爛れの電線を手繰りながら、ケチンの焼跡へ行き、灰のなかにしゃがんで、その辺を掘っくりかえしていたが、納得したような顔になって、みなのいるところへ戻ってきた。

係長は石田氏のそばへ行くと、如才のないつくり笑いをしながら、

「ちょっと、お伺いしたいことがあるんですがね」

と軽い調子で誘いかけた。石田氏はそっぽを向いたまま、

「火事の話をすると、口が乾いて困るんだ。洗いざらえ、言い尽したはずだから、いい加減にしてもらいたいね」

と突っ放したが、係長のほうは、なんの感じもないふうで、

「あなたにとっても、有利な話なんですから、つきあってやってください。たいして、お手間はとらせないつもりです」

「警察へ行くのかね」

「お話を伺うだけですから、なんでしたら、あちらの広廊の端ででも」

「だいぶ困っているようだな。君を苛めてみたってしょうがないから、長くなければ、つきあってやってもいい」