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Japanische Klassiker mit Furigana

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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme

Aozora Bunko

白鳥の悲しみ

美しく晴れた日、

動物園の雑鳥の大きな金網の中へ

園丁が忍び入り、

白鳥の大きな白い玉子を二つ奪つて戸口から出ようとする時

気がついた白鳥の母は細長い首を延ばして朱色の嘴で

園丁の黒い靴をねらつてついて行つた。

卑しい園丁は玉子を洋服のポケツトに入れて

どん/\行つてしまつた。

白鳥の母は玉子の置いてあつた木の堂へ黙つて引返し

それから入口に出て来て立止つて悲しい声で鳴いた。

二三羽の白鳥がそれの側へ首を延ばして近寄り

彼女をとりまいて慰めた。

白鳥の母は悲しく大きな声で二つ三つ啼いた。

大粒な涙がこぼれるやうに

滑らかな純白な張り切つた円い胸は

内部から一杯に揺れ動き、

血が溢れ出はしまいかと思はれる程

動悸を打つて悶えるのが外からあり/\見えた。

啼かなくなつてもその胸は痙攣を起してゐた。

その悲しみは深くその失望は長くつゞいた。

然しやがて白鳥の母は水の中へ躍り込んだ。

さうして涙を洗ふやうに、悲しみを紛らすやうに

その純白の胸も首も水の中へひたし、水煙をあげて悶えた。

然しそれはとり乱したやうには見えなかつた。

さうして晴々した日の中で悲しみを空に発散した。

その単純な悲しみは美しく痛切で偉大な感じがした