Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.981 Zeichen · 295 Bildschirme
男は死んでも物すごくにやりにやりと笑い続けていた。その笑い声が木村木村と聞こえた。始めのうちは声が小さかったがだんだん大きくなって数もふえて来た。その「木村木村」という数限りもない声がうざうざと葉子を取り巻き始めた。葉子は一心に手を振ってそこからのがれようとしたが手も足も動かなかった。
木村……
木村
木村 木村……
木村 木村
木村 木村 木村……
木村 木村
木村 木村……
木村
木村……
ぞっとして寒気を覚えながら、葉子は闇の中に目をさました。恐ろしい凶夢のなごりは、ど、ど、ど……と激しく高くうつ心臓に残っていた。葉子は恐怖におびえながら一心に暗い中をおどおどと手探りに探ると事務長の胸に触れた。
「あなた」
と小さい震え声で呼んでみたが男は深い眠りの中にあった。なんともいえない気味わるさがこみ上げて来て、葉子は思いきり男の胸をゆすぶってみた。
しかし男は材木のように感じなく熟睡していた。
(前編 了)