Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
いろいろな噂をとりあつめると、私の母は派手なところがあって、虚無僧が塗り下駄をはいてお城下さきを尺八をながしてあるくのを見ると、若い母は、その翌日は虚無僧と同じい黒塗りの下駄をひっかけた。そういう小さな例からも、私はあの落ちついた母にそういう軽はずみな若いときがあったかと、かえって嬉しそうにしている姿を目に見るようで不快ではなかった。私が養家さきから、ひっそりと会いに行って、つい寝込んでしまった母の膝のふれ心地のよかったことも、ずっと頭の奥の方に、いまも温かにふうわりと残っているような気がするのであった。
私は地蔵尊のそばへゆくと、それらの果しない寂しい心になって、いつも鬱ぎ込むのであった。私は人の見ないとき、そっと川から拾い上げた地蔵尊の前に立って手を合せた。母を祈る心と自分の永い生涯を祈る心とをとりまぜて祈ることは、何故かしら川から拾った地蔵さんに通じるような変な迷信を私はもっていたのである。自分が拾いあげたという一つのことが、地蔵さんと親しみを分け合えるように、幼年の時代から考えた癖が今もなお根を張っているのであった。
参詣人のなかにはもう見知り顔もできていた。