Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
私はある日、彼女のやってくる時刻に、一通のてがみを書いて、それを賽銭箱の中へ入れて置いた。そうすれば、金と一しょに辷り出てゆくにちがいないし、出れば読むに決っていると思った。それは、「あなたは此処へ来てはいけません。あなたの毎日せられたことはお寺にみんな知れているから、この手紙を見たらもう来てはいけません。」と書いたのだ。私はそれを箱の中へ入れてからも、これを見たら彼女が来なくなるだろうという寂しい心持になった。そして入れなければよかったと思い、とり出してしまおうかと、落ちつかない心持になった。
しかし時間はもう彼女のやってくる時に迫っていた。私はれいの戸板のところで、くらやみから這い出てくる蚊をはらいながら待っていると、彼女はやってきた。そして、もうすっかり馴れた手つきで素早く釘をつっ込むと、錠はあいた。そして箱をしずかにななめに傾けると、一方の錠のあいた方から、銅貨や銀貨がぞろぞろと辷って出た。そのとき、私の入れた手紙が出た。「田中様に」とかいておいたので、彼女は一と目見るなり、さっと顔を赤めた。私はれいの節穴から一心に見詰めていた。恐ろしい好奇心に瞳を燃しながら、彼女の一挙一動を見逃すまいとして――かの女は顔を赤めた瞬間、すぐに稲妻のような迅速な驚愕を目にあらわしながら四辺を見廻した。