Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
突然また表が言った。
「逢いたい気がするね。」
「よくなってからさ。」
この西町の午後は静かで、そとの明るい日光が小さい庭にも射し入っていた。私はそれを見ていたが、約束の『邪宗門』を出して見せた。
「もう出たんだね。」
表は手にとって嬉しそうに見た。草刷のような羽二重をまぜ張った燃ゆるようなこの詩集は彼を慰めた。感覚と異国情調と新しい官能との盛りあがったこの書物の一ペエジごとに起る高い鼓動は、友の頬を紅く上気せしめたのみならず、友に強い生きるちからを与えさえした。
友はこの書物をよこに置いて、
「この間短いのを書いたから見てくれ。」とノートを出して見せた。
ノートも薬が沁み込んで、頁をめくるとパッと匂いがした。私はしばらく見なかった作品を味うようにして読んだ。
この寂しさは何処よりおとづれて来るや。
たましひの奥の奥よりか
空とほく過ぎゆくごとく
わが胸にありてささやくごとく
とらへんとすれど形なし。
ああ、われ、ひねもす坐して
わが寂しさに触れんとはせり。
されどかたちなきものの影をおとして。
わが胸を日に日に衰へゆかしむ。
私はこの詩の精神にゆき亘った霊の孤独になやまされてゆく友を見た。