Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるしょうじょのしまで

或る少女の死まで 他二篇

室生 犀星

Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme

Aozora Bunko

昨日もおまいりに行ったとき、あなたがもしも境内にでも出ていらっしゃらないかと思って、しばらく廊下にいましたの。」

「僕は奥にいるからめったに外へ出たことがない――。」と、女がなんだか、ありそうもないことを言ったようで変な気がした。それにしきりに先刻から寺のことが考えられて仕方がなかった。父のことや、父を欺して貰って来た金のことなどが、たえず頭のなかで繰り返されて来て、落ちつかなかった。たとえば私のこんな遊びをしている間に、ひょっとしたことから火事でも出来たら大変だという懸念や、何か特別な天災が起って来そうに思われて仕方がなかった。ことに此派手な座敷のいろいろな飾り立や、女のもって来た三味線や、業業しく並べ立てられた果物の皿などが、寺の静かな部屋とくらべて考えると、ここに坐っているだけでも非常な悪いことのような気がした。しまいには、ひとりで顔が蒼くなるほど煩く種種なことを考え出して胸が酸っぱくなって一時も早く帰らなければならないような気がした。

「僕は今夜はすこし急ぐから。」と言って立ち上った。

「もっとゆっくりしたっていいじゃありませんか。あまり晩くなるとお家へいけないでしょうが、でもまだ九時よ。