Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
「此方に考えがあるのだ。君はそこにいればいい。」と、投げつけるように言った。
私は脣をかんだ。そしてOが杖でやったことを警察でも知っているんだなと思った。私はOをじっと見詰めた。Oはその蒼白な顔をそとの方に向けて坐っていた。Oと私とは十年来の友であった。私はかれの心持を考えると、どんなにつらいだろうと考えた。私は看視している者の帯剣からからだを動かすたびごとに金属的な不快な音を立てるのをききながら、この役人どもがやはり優しい人並みな感情を持っているだろうかとさえ、極端な憎悪をもって憎憎しく眺めた。
私の坐っているところからすぐ廊下になって、街路の明るい日光に照らされている一部をも眺めることができた。わずか二時間あまりもこの暗いところに坐っている間に、私は街路や世間の生活が非常に遠いところにあるような気がしだした。羅宇屋や学生や、若い女などが通ってゆくのが皆楽しく明るく幸福で、しかも私どものような暗い心持でいる人間がこの世界に存在していないように、またそういう想像をさえしたことがないほど、みな喜ばしく歩いてゆくように思われた。ことに町家の屋根の上から覗いている木のゆれるのが、実に爽やかで瑞瑞しく美しい緑をたたえて、私の心の奥までしみ亘った。