Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
私はよく磧へ出て行って、鮎釣りなどをしたものであった。毎年六月の若葉がやや暗みを帯び、山山の姿が草木の繁茂するにしたがって何処となく茫茫として膨れてくるころ、近くの村落から胡瓜売のやってくるころには、小さな瀬や、砂利でひたした瀬がしらに、背中に黒いほくろのある若鮎が上ってきた。
若鮎はあの秋の雁のように正しく、可愛げな行列をつくって上ってくるのが例になっていた。わずかな人声が水の上に落ちても、この敏感な慓悍な魚は、花の散るように列を乱すのであった。
私はこの国の少年がみなやるように、小さな尾籠[#「尾籠」はママ]を腰に結んで、幾本も結びつけた毛針を上流から下流へと、たえまなく流したりしていた。鮎はよく釣れた。小さな奴がかかっては竿の尖端が神経的にぴりぴり震えた。その震えが手さきまで伝わると、こんどは余りの歓ばしさに心が躍るのであった。
瀬はたえずざあざあーと流れて、美しい瀬波の高まりを私達釣人の目に注がす。そこへ毛針を流すと、あの小さい奴が水面にまで飛び上って、毛針に群るのであった。ことに日の暮になるとよく釣れた。水の上が暮れ残った空の明りにやっと見わけることのできるころ、私は殆んど尾籠を一杯にするまで、よく釣りあげるのであった。