Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
私は姉とお孝さんとに挟まれていた。姉はいつも私の手をいじくる癖があった。
「お寺がいい? お家がいい?」
などと姉がたずねた。
「お寺もおうちも何方もいいの。でも両方にいるような気がするの。」
私は実際そんな気がしていた。一日に幾度も行ったり来たりしていたから。
「そうでしょうね。」
姉も同感した。
「でもね姉さん。晩はコワくてこまるの。誰も起きていないのに本堂で鐸が鳴るんだもの。お父さんにきくと、鼠がふざけて尾で鐸を叩くんだって――。」
「まあ。そう。」
お孝さんがコワそうにいう。
お孝さんは、ときどき面白いことを言った。
「あのね、姉さんがお好き。あたしをお好き。どっちなの。」
などと姉を笑わせることがあった。
「みんな好き。」
などと三人は、本堂裏の方へ遊びに行った。そこはすぐ石垣の下が犀川になっていて、楓の老木や茨が繁っていた。姉さんは、大きかったので、その細い危い本堂裏へは行けなかった。
「あぶないからお止しなさい。」と姉は言った。けれども私はそこへは行かれる自信があった。
「わたしも行くわ。行かれてよ。」
お孝さんが茨を分けて行こうとした。姉はびっくりした。