Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
私は「いまから姉はどうして晩までくらすのだろう。何か面白いことでもあるのだろうか。」などと考えていた。家にいるときよりいくらか瘠せたのも私にはよく感じられた。私は嫁というものは単に生活を食事の方にのみ勤むべきものであろうかなどと、悩ましく考え歩いていた。
北国の冬の日没ごろは、油売の鈴や、雪が泥まみれにぬかった道や、忙しげに往き交う人人の間に、いつもものの底まで徹る冷たさ寒さをもった風が吹いて、一つとして温かみのないうちに暮れてゆくのであった。
私は寺へかえると、夜は父と、茶の湯の炉に強い火を起して対い合って坐っていた。父は何をするということなしに、茶をのんだり暦をくったりして一と晩を送るのであった。
父はよく柚味噌をつくったりした。柚釜の中を沸沸と煮える味噌の匂いを懐かしがりながら、私はいつも父の手伝いをしていた。境内の大きな栂に寒い風が轟々と鳴るような晩や、さらさらと障子をなでてゆく笹雪のふる夜など、ことに父と二人で静かにいろいろな話をしてもらうことが好きであった。
もはや姉に親しもうとしても、遠くへ行ってしまった後は、父と寂しい話などをきくより外はしかたがなかった。