Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
私達は盃をなめはじめた。私は深い飲酒者が永い時間をかけて愛飲するように、ちびりちびりと深い溝そこへはまり込んで行くように、次第に意識を円満にやわらげてゆくようにした。酒は意識を五彩あやなす錯然とした或る夢幻的な心持に、たびたび誘おうとした。しかし私はもはや酔えなかった。あたまの中にシンが立ったように、醒めて冷えきったものがあった。
れいの少女は、自分の坐るところにいて、私達の方を見つめていた。……間違いのないように、あんな恐ろしいことが起らないように……とその大きな目が謹ましい深い或る一点に、しかも黒黒と据えられているようであった。しかもあの永久にそうあろうとも思われる微笑みは、ときとすると、老人のするような枯れたようなところが浮んできて、大きな悲しそうな、とても現わそうと思っても、わざとは現わしきれない複雑な光とともに、しずかに私の上にそそがれていた。私はにっとほほえんで見せると、かの女は立って、私たちの方へ来た。
私はこのごろになってから、彼女に酒をつがせることをしなかった。何かしらこの少女の霊魂までをおもちゃにするような、変な或る道徳的でない別な感情的な意味で、いつも自分でついでは飲んでいた。