Japanische Klassiker mit Furigana
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せんそうざっき
戦争雑記
徳永 直
Lesen Sie 戦争雑記 (せんそうざっき) von 徳永 直 (とくながすなお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.149 Zeichen · 25 Bildschirme
「貞は、ウチジニしたぞい!」
ある夕暮方祖父は、赤い筋の入った電報を握って、私の家の軒先から、オロオロ泣いて入って来た。
親類外の人々が、戦死した報を聞いても、そうビクビクしていなかった母たちは、貞助が、ウチジニしてからは、足許に亀裂が入ったように、何時もキョトキョトしていた。
貞助が死んでも、葬式もなにもなかった。髪の毛でも送って来なければ、葬りようがなかった。倅が夭死して、頼みの綱の孫がまた、戦死した祖父の家は、寂しそうであった。
私は無性に、ロスケが憎かった。
家主の総領息子の彌一さんも、戦死の報がきた。私の父からは、時折、軍事郵便が来たけれど叔父の方は、パッタリ来なくなった。
母も叔母も、毎晩、お題目を唱えて、叔父達の身の上を念じた。私は寝床に入ってから、母たちが狂人のように、
「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経」
と大声あげて、団扇太鼓をたたきながら、唱名しているのを、ひょいひょい寝覚のままに聞くほど、晩くまで念じていることがあった。
私は何だか、少し戦争が怖くなった。私は父が、何だか逢いたく思われ出した。
奉天が落ちた。
それは何月何日だったかは覚えぬが、私が号外売りを追駈けて行って買ったのは、暑い夏の頃で、ヂリヂリ照りつける陽で道の砂が足裏(私達小児はみな大抵跣足で過した)が焼きつくようで、日盛り