Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ゆびとゆびわ
指と指環
佐左木 俊郎
Lesen Sie 指と指環 (ゆびとゆびわ) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.538 Zeichen · 12 Bildschirme
そして彼の巴里での三年間の生活は、殆んどその一個の指環のために費されたと言ってよかった。彼は貯蓄に努めた。立派で綺麗な彰子の指を、やがてはピアニストとしての芸術家彰子への指を飾るべき一個の指環のために貯蓄した。そして彼は絶えず、指と指環との調和を考え続けた。ピアノのキイの上を走る白い指には、どんな指環が最もよく調和の美を描き出してくれるだろうか? 彼の巴里での三年間に亘る空想の翼は、常に彰子の美しい指の上に拡げられていた。
巴里での三年間が終わりに近付いた或る日、彼は突然、彰子が危篤だという日本からの電報を受け取った。動き出した電車に飛び込むような場合ではあったが、彼は彼女と約束した指環のことを忘れなかった。
彼はこの急場で三つの指環に魅力を感じた。彼は映画のタイトルを読むような気忙しさで、この三つのうちから、最も清楚な感じの、最も高価な指環を選んだ。それは素晴らしく大きな青光りのダイヤと、黄金の薔薇の花束から出来ていた。精巧な彫刻の施された二束の薔薇には、その蕾や花として無数の真珠と青光りのダイヤが鏤められ、その両尖端の五六枚の葉先が、何の意味もなく、その素晴らしく大きな青光りのダイヤを支えているのだった。