Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆびとゆびわ
指と指環
佐左木 俊郎
Lesen Sie 指と指環 (ゆびとゆびわ) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.538 Zeichen · 12 Bildschirme
彼はその手を投げ出すようにした。
「駄目だ! 指はまあ……」
「だから、初めから駄目だと言っているじゃないの? さあ、私が指を見せて上げた代わりに、あなたの持っている指環を見せてよ。」
「指環はいくらでも見せてやるがね。」
彼は再びチョッキの内ポケットから指環を取り出して女給の手に渡した。
「まあ、なんて綺麗な立派な指環なんでしょう。」
「この小さいのも、皆んな真珠とダイヤだわよ。」
彼女達は顔を寄せ合わせて指環を観賞した。
「幾ら立派でも綺麗でも、どうせ指環なんてものは、第二義的なものさ。綺麗な指に嵌めてこそ価値があるものなんだ。」
「凄いわね。」
「私、なんだか、恐いようだわ。この指環!」
「恐い? 立派な指さえ持っていれば、恐くなんかありゃしないんだ。さあ、いいかげんにして返してくれ。」
指環は燦然と輝きながら彼の手に戻った。
「この指環の恐くないような指を持った女は、この東京中にいないんだ。みんな、つまらない指を持った女ばかりだ。」
彼は叫ぶように言って、指環をチョッキの内ポケットに蔵った。そして、冠っていたソフトを取ってテーブルの上に叩きつけた。
「一人として、素晴らしい指を持った女がいないなんて……」