Japanische Klassiker mit Furigana
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つめ
探偵クラブ 烙印
大下 宇陀児
Lesen Sie 探偵クラブ 烙印 (つめ) von 大下 宇陀児 (おおしたうだる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.509 Zeichen · 103 Bildschirme
破傷風に罹らせれば、苦もなく竹中を殺してしまえる。しかも、マミイにそれをやらせれば、誰も自分を疑う者は無い。簡単明瞭、実に素晴らしい方法ではないか。
実をいうと、この方法は何も彼が有頂天になって喜ぶ程、それ程に珍らしいものではなかった。パリの近郊で起った事件だが、犯罪学の泰斗として有名なベルチロン氏もこれに関係している。スファン・ラルセンという男があって、その弟のヤルクというのが、兄ラルセン夫妻を、殆んど同じような手段で殺しているのだ。その事実譚を沖野がよしんば知っていたにしたところが、彼は多分この折角思付いた方法を、むざとは思切ることが出来なかったであろう。見たところでは、凡てがお誂え向きに出来ていたのである。
ただしかし、沖野は前にもいった通り、人並外れて気の小さい、病的と思われる位に心配性な男だった。それで、いよいよ本気になってその実行を考えることになると、それに関連して種々の事柄を克明に按排し考慮して見ねばならなかった。こうしたことは、その実行の途中だとか、又は実行後にでも、予想外なことが一つでも起ってくれては困るのである。殊に彼は、自分自身至って気の弱いことを知ってもいるので、もしそんなことがあれば、忽ち自分は、必要以上に狼狽するということをひどく懼れた。