Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme
「ここでいくら苦心したって、又どうせ東京で乗換えなけりゃならないんだもの」
「夜行でない方が安全だよ、同じことにしても……」
東側の縁側へ行って、ひろ子は例の行李を開いた。広島のことをラジオできいたとき、ひろ子はすぐ安否をきいてやった。きょうの速達は十八日に田舎の局のスタンプがおされている。ひろ子の手紙とはゆきちがった。そして、これは二十日目についた。
母やつや子が、直次のことを知ったのは、既に十一二日ごろのことであった。偶然、直次と同じ班の友達が、ふらりと、
「直次君、戻ってでありますか」と店先へ訪ねて来た。
「いえ、戻って居りませんが……どうでありますか」
話はそのようにして初めて耳に入ったのであった。
ひろ子は、行李の中のものをすっかり出して、大風呂敷へうつした。仕事の用意をすこしと、そして底の方へ喪服を入れた。
直次が、除隊後第一回の応召のとき、母はひろ子をつれて、わざわざ讃岐の琴平へ詣った。雨が降り出した。下の土産屋で、番傘と下駄とをかり、下界から吹き上げる風に重い傘を煽られまいとして、数百段の石段を本堂まで登りつめたとき、ひろ子は脚がふるえて動けないようだった。