Japanische Klassiker mit Furigana
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
Lesen Sie 文藝別冊[総特集]岡本綺堂 (いけぶくろのかい) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.671 Zeichen · 149 Bildschirme
それにつづいて奥へ出入りの襖。庭の上のかたには四つ目垣、蕾のふくらんだ桃の木がある。下のかたには稲荷の小さい社、そのそばには八つ手の葉が茂っている。
(座敷には屏風をうしろに立てまわして、仲ばたらきのお冬がやつれた顔をして寝床の上に起き直り、薬をのんでいる。その枕もとに和泉屋の女房おさきが同じく暗い顔をして坐っている。)
おさき どうだえ。まだ気分はよくないかえ。
お冬 ゆうべからどうも頭が痛んでなりません。
おさき それも無理の無いことさ。こころの疲れと、からだの疲れで、わたしでさえもがっかりして、骨も魂も抜けてしまったようだから、まして、お前は……。(云いかけて涙ぐむ。)察していますよ。
(お冬は声を立てて泣き入る。)
おさき ああ、そんなに泣いてはからだに悪い。もう、もう、何事も因縁ずくと、わたし達も諦められないところを無理にあきらめるから、お前もどうぞ諦めておくれよ。
お冬 わたくしはいっそ死んでしまいとうございます。(すすりあげて泣く。)
おさき それでは却って仏のためにもならない。たとい角太郎がこの世にいなくっても、一旦はここの家の嫁にと思ったお前のことだから、わたしの方でも決して他人とは思いません。