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Japanische Klassiker mit Furigana

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みすじまちかいわい

斎藤茂吉随筆集

斎藤 茂吉

Lesen Sie 斎藤茂吉随筆集 (みすじまちかいわい) von 斎藤 茂吉 (さいとうもきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.559 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

私がそんなに近く見たのはこの一例だけだけれども、そのころの東京の火事にはそんな例がざらにあったものとおもう。

東京は大震災であのような試煉を経たが、私も後年に火難の試煉を経た。少年のとき屋根瓦にかじりついて、紅く燃えあがる吉原の火事を傍看したのとは違って、これはまたひどいともひどくないとも全く言語に絶した世界であった。私は香港と上海との間の船上で私の家の全焼した電報を受取り、苦悩のうちに上海の歌会に出席して人々の楽しそうな歌を閲して批評などを加えつつ、不思議な気持で船房に帰ったことを今おもい出す。

九

私らが浅草を去って神田和泉町それから青山に転任するようになってから、私は一度東三筋町の旧宅地を見に行ったことがある。その時には、門から玄関に至るまで石畳になっていたところに、もう一棟家が建って糸の類を商売にする人が住んでいたようであった。しかし塀に沿うて路地を入って行くと井戸もそのままで、塀の節穴から覗けば庭も元のままで、その隣の庭もそのままのようで松樹などが塀の上からのぞいていた。その隣の庭というのは幕府時代の某の屋敷でなかなか立派であった。