Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃよう
斜陽
Lesen Sie 斜陽 (しゃよう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.822 Zeichen · 176 Bildschirme
三
私の胸にふうっと、お父上と那須野をドライヴして、そうして途中で降りて、その時の秋の野のけしきが浮んで来た。萩、なでしこ、りんどう、女郎花などの秋の草花が咲いていた。野葡萄の実は、まだ青かった。
それから、お父上と琵琶湖でモーターボートに乗り、私が水に飛び込み、藻に棲む小魚が私の脚にあたり、湖の底に、私の脚の影がくっきりと写っていて、そうしてうごいている、そのさまが前後と何の聯関も無く、ふっと胸に浮んで、消えた。
私はベッドから滑り降りて、お母さまのお膝に抱きつき、はじめて、
「お母さま、さっきはごめんなさい」
と言う事が出来た。
思うと、その日あたりが、私たちの幸福の最後の残り火の光が輝いた頃で、それから、直治が南方から帰って来て、私たちの本当の地獄がはじまった。
三
どうしても、もう、とても、生きておられないような心細さ。これが、あの、不安、とかいう感情なのであろうか、胸に苦しい浪が打ち寄せ、それはちょうど、夕立がすんだのちの空を、あわただしく白雲がつぎつぎと走って走り過ぎて行くように、私の心臓をしめつけたり、ゆるめたり、私の脈は結滞して、呼吸が稀薄になり、眼のさきがもやもやと暗くなって、全身の力が、手の指の先からふっと抜けてしまう心地がして、編物をつづけてゆく事が出来なくなった。