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Japanische Klassiker mit Furigana

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こういうきもち

斯ういう気持

宮本 百合子

Lesen Sie 斯ういう気持 (こういうきもち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.379 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども、此小事件から足踏み出来ないとなると何だか淋しい気がした。如何云ってよいか――つまり、せめて金でも沢山あったらまだしもだが、あれっぽっちで妙な性格の暗さを曝露して仕舞ったこということが、変に痛ましいのであった。愛は、段々金入れをああいう処にうっちゃって置いた自分を悔む度が増した。

「――どうでしょう、照子さん、来るかしら」

「さあね」

「来るといいわ」

「然し、一人で置いとけないなんて、一寸厄介だな」

「何も置かなけりゃよくてよ」

数日後のことであった。愛が茶の間に居ると格子のあく音がした。

「――御免下さい」

手伝に来て居たふきが返事をしたが、一種の表情で

「小幡さんがいらっしゃいました」

と、取次いで来た。愛は、瞬間、ふきの表情がぴったり自分にも乗移るのを感じた。彼女は、力を入れて其を振払うようにした。

「そう、お通しして」

出て見ると、照子は相変らず白粉けのない、さばさばした様子で、何のこだわりもなく

「今日は――いつぞやは有難うございました」

と挨拶した。愛は、楽な心持になった。

「どうなすって? あの晩、電車ぎりぎりだったでしょう」

「ええもう青でした――でも、おそいのはいくらでも馴れてるから……」