Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme

Aozora Bunko

「……ゆるしてくれい」

と、上座から、手をつかえぬばかりに、わびた。

「――無念であろう。憤ろしいことであろう。家康も、暗愚ながら、その思いには、変りない。……さあれ、今となって、三介どのを責めたてても、それは、われらの名分を、みずから道化たものにするだけのものに終ろう。従って、羽柴どのに対しては、その智慮を敢えて敬して、共に、平和を賀するほかはないのじゃ。謀略の平和、偽装の平和などと、ゆめ、罵っては相成るまい」

いつかみな、面を伏せて、たれひとり、家康の顔を見ている者もなかった。

ぽた、ぽた、と涙の音がしげく聞えた。男泣き、無念泣きの、ふるえが、肩から肩へ、波のように、うねった。

「ぜひもない儀と……ここは、こらえてくれい。肚を太く、大きく、ただ他日を期して」

井伊兵部も本多平八郎も、ここへ坐ってからは、一言もなかった。いや、ふたりとも、はな紙を出して、横向きに、顔ばかり拭いていた。

「めでたい。戦はやんだ。めでとう、明日は岡崎へ帰ろうぞ。そちたちも、はやはや家路について、女房子の顔でも見よ」

家康も、懐紙で洟をかみながら、そういった。

次の十三日。