Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme
――詫びても、詫びきれないような気もちから、自然、にじみ出る涙は、その傷者をして、無限な慰藉となり、愛情の結びとなった。
「なんの、これしきの傷」
と、かれらは、ふたたび、槍を杖についても、防ぎに向うのだった。
その姿に、戦友は鼓舞され、その昂い防禦精神を見舞って、かの女は、自分で炊いだ兵糧をくばり、また茶わんを持って、酒を好む者には、酒倉の酒のある限りはと、注いで廻った。
――今にも、その夜のうちにも、陥ちるかと見えた城は、こうして、俄然、さらに強い反撥を示した。もっと意外なのは、おののきふるえていた領民までが、男という男をこぞって、材木を伐り、大石をころがし、防禦の一役を、自分たちから、買って出たことだった。
「まだか」
佐々成政は、その日、もう敵の末森城は、潰滅は寸前のものという見通しで、坪井山からずっと本陣をすすめ、すぐ城下近くまで来て、
「だいぶ、手間ひまがかかるじゃないか」
と、三の丸占領の戦況を聞いても、まだ、部下の手ぬるさを、不平顔でさえあった。
夜は、城も城下も、焼けただれて見え、小雨の空は、どんよりと赤く、その反映に、床几にかけている彼の顔まで、朱いろの仮面みたいだった。