Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
それなら茶わんでも焼いておれと、望みにまかせて、やらせておるが」
「ははあ、ではあれは、それを焼く窯でございましたか。しかし茶わんなど作って、どうなさいますか」
「飯でも喰おう」
「ははは」
彦右衛門の高笑いに、彼方に屈んでいた福太郎は、びっくりしたように窯の前から伸びあがって振り向いた。
が、いつも物に脅えているようなその眼は、遠く、藤吉郎のすがたを見ても、あわててまた窯の前に、卑屈な犬のように背を屈めてしまう。
「あの卑屈を、どうしたら除いてやれようか」
藤吉郎は、彼のひとみを見るたび、不憫をおぼえた。
何か、常に恐怖していた。優しく仕向ければ猶おどおど尻ごみするといった風である。なぜかと、福太郎の心を察してみると、自分がまだ茶わん屋の若主人と立てられていた時代、家にいた日吉という小ましゃくれた丁稚を憎んで、朝夕にいじめつけたことがある。それを今となって、急につよく憶い出し、自責のあまり、人知れず恐怖したり苦悶したりしているらしいのであった。
日が経つと、彼の作った茶わんが焼けた。
焼き上がるたび、福太郎は、幾つかの品を、黙って、藤吉郎の書院の縁先へならべておいた。