Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme

Aozora Bunko

権化

「――あッ」

三平は仰向けに倒れる。天蔵の石あたまは、いやというほど、その鳩尾へ打つかッて逆立ちする。

「ざまを見やがれ」

蜂須賀村の産、野武士小六の甥――である天蔵の野性は遺憾なく発揮された。相手の喉をしめつけて、狼のように立ちあがると、傍らの石を両手に振り上げて、三平の面部にたたきつけた。

ぐしゃッと、柘榴の割れるような音がした。天蔵の影は、もうその傍にいなかった。

権化

信長が長嶋から引きあげた後も、横山城の藤吉郎は、江州の各地を転戦していた。

始末の悪い一揆の火である。

ここを消せば、かしこに燃えあがり、そこと馳せ向えば、後方がまた再燃している。

あの信長でさえ、自身、長嶋征伐に赴いて、現地の実情を知ると、直ちに兵を引っ返して、

(――これを攻めるのは愚だ。火事の火元をつきとめずに、火事の映っている遠い壁や塀に水をそそいでいるようなもの――)

と、嘆じて、以来、各地の一揆に対して、いちいち虱つぶしに出る戦法はやめてしまった。

で、藤吉郎の方へも同様な指令が来た。藤吉郎は、信長のこころを察して、

「さすがは御賢慮あったとみえる。このひと夏は、悠々、昼寝でもしておれとの仰せだろう」