Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
仔馬と牝馬を曳いて人ごみの真ん中を通って来たので、往来の人たちは市の両側へ避けたが、頭巾のうえに塗笠をかぶって、眼もとばかり出して歩いて来た武家は、避けることを知らなかった。
「あッ」
よろめいた時、博労の手綱は、その武家の肩を打ったようであった。
だが、あッといったのは、よろめいた武家の声ではなく、もっと離れた所から、べつな人間の口をついて出たものである。
連れの者とみえ、すぐ、
「お怪我はありませぬか」
駈け寄って来て、脱ぎ捨てられた片方の草履をさがして、その人の足もとへおいた。
従者らしいが、ほとんど同じような身ごしらえをしている。笠、面隠しまでが同じだった。
「乱暴なやつ、ひッ捕えて、奉行へわたしてくれましょうか。武家にさえあの態、一般の者には、どんなか、思いやられる」
もう人ごみの遠くに馬の背しか見えないのを振り向いて、連れの武家が怒りをもらすと、
「止めよ。止めよ」
小声にいって、ひとりはもう先へ行く。従者は、ふたたびまた、何かあってはと、案じるように、こんどはすぐその人の背について、眼をくばってゆく。
市を出端れると、人もまばらに、空地があって、その先は寺院らしい。