Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
その日まで、広い地域をかこんでいた大兵が、にわかに引揚げ始めたのをながめて、
「すわ、信長の後方に、何か、突発的な大事が起ったにちがいない」
と、観て、急に門徒の大兵団は、長嶋を出て、追撃に移った。
追撃にかかった僧兵の一隊は、川を遡って先に廻り、やがて潰走して来る見込みで、敵を待っていた。
殿軍の柴田軍は、堰を切って出た門徒勢のため、さんざんに撃破された。彼の作戦どおり、逃げ走って行ったが、そこには、待ち伏せていた新手の敵があった。鉄砲、乱箭を浴びせられたあげく、全部隊の半分は、僧兵のために殺された。
柴田勝家自身も、左の股に一弾の銃瘡と、肩のあたりに一矢の矢痍をうけていた。そればかりか、中軍に持っていた金幣の馬標まで、敵手に奪われてしまい、主従、ちりぢりになって逃げ走った。
「殿! 殿! もう私は、お別れします。お供もこれまでです」
彼の小姓のうちに、当年十七歳になる水野采女という少年がいた。突然、勝家の駒のそばを離れて、後へもどろうとする様子に、
「采女、どこへ行く」
と、勝家が叱った。
すると采女は、
「恃みに足らぬ細腕と思し召しましょうが、馳せもどって、殿軍の殿軍をいたしまする。